2011年12月13日

感情を大切に

1年分の涙を流そう

山のような新年号の締切に追われていると、書斎のドアが静かに開いた。目をあげると5歳の長男が、お気にいりのタオルをひきずって歩いてくる。机の横に立ち、顔をくしゃくしゃにしていった。
「あのね、なんだか悲しいの」
ぽろぽろと涙を落しながら抱きついてくる。熱を持った背中をなでてきいてみた。どうしたの、理由は。
「あのね、理由はないの。なんだか、悲しくて、涙がでる」
 胸をつかれて、ぼくはいいました。大人でも子どもでも、みんなそういうときがあるよ。わけもなく悲しくなるのは、誰にでもあって、普通のことなんだ。
みなさんは、今年1年で何回泣きましたか。その涙にはどんな理由があったり、なかったりしましたか。心は身体と同じで、いつも動かしていないと、すぐにかちかちに硬くなってしまう。涙には人の心をストレッチするやわらかな力があるのです。小説、映画、音楽に限らず、いい作品は、悲嘆や歓喜の絶頂に人を連れていく力づよい翼がある。今年はどんな作品にふれて、心のストレッチをしましたか。
今回がぼくの時評の年内最終回。新しい年を夢みるのもいいけれど、この1年をもう一度よく味わってみよう。どんなについていない人にだって、見落としていたあたりまえのいいことがいくつかあったはずです。来年もまたみなさんにとって普通の1年になりますように。こちらはもうすこし締切がんばります。
(「朝日新聞」ゼロサン時評2003年12月23日)

『目覚めよと彼の呼ぶ声がする』石田依良 著   より


数年前に出会った依良さんの文章。
コピーしてずっと手帳に挟んであった。
年末になるといつも読み返している。
今年もまた思い出し読んでみた。

理由のない感情。
感情には理由があるとどこかで思いこんでいた私。
今ただ感情を感じることをしている。
自分の感情をもっと大切にしたい。


タグ :感覚感情
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Posted by KAYO at 14:21│Comments(0)セラピー
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